
信州大学

信州大学は、昭和24年に長野県内の旧制高等学校、高等専門学校、師範学校など7校を母体として新制国立大学として創設され、現在では8学部、5大学院研究科を擁する総合大学へと発展してまいりました。教員数は約1,100名、在学生数は約11,000名にのぼり、松本・長野・上田・伊那の4地域5キャンパスにおいて、多様な教育・研究活動を展開しています。
創設以来、本学は地域に根ざす総合大学として、教育・研究・社会貢献の各分野において地域社会や産業界と連携し、特色ある教育と先鋭的な研究を推進してまいりました。これまでに多様な分野で優れた人材を輩出し、地域中核大学としての使命を着実に果たしています。また、入学者の約3割が長野県出身、約7割が全国各地の出身者で構成されており、北海道から沖縄まで、さまざまな価値観や背景をもつ学生が集うことで、キャンパスには自然と「異文化交流」や「多様性」が育まれる環境が形成されています。
近年、本学は「地域に根ざし、世界につながる大学」を理念に掲げ、地球規模の課題解決に貢献する「グレーター・ユニバーシティ・ビジョン(VGSU)」を策定し、研究力の強化とその社会実装を戦略的に推進してきました。こうした取り組みは、文部科学省の重点施策である「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択されることで結実し、本学はJ-PEAKS研究大学群の一員として、日本全体の研究力の向上と国際的な学術プレゼンスの確立に貢献する責務を担っています。
なかでも、「水および水由来水素エネルギー」に関する研究は、本学の中核をなす重点領域の一つであり、その象徴として、令和6年度末、松本キャンパス正門南側に「アクア・リジェネレーション共創研究センター」が設置されました。同センターにおいては、水の高度循環システムならびに太陽光と光触媒を活用したグリーン水素の生成に関する実証研究が、今後精力的に展開され、地域社会の活性化と持続可能な発展に資することが強く期待されています。
こうした世界的課題に挑む知の基盤として、信州大学では令和7年度より、11番目の学系として「超学系」が新たに発足いたしました。「超学」は、学問領域の枠を越えた知の実践を通じて、社会実装を見据えた教育・研究活動を展開することを目的としています。異なる分野の知識と技術を統合し、研究者間の学際的協働を促すことで、新たな知見と革新の創出を図り、越境共創型の知の創造を通じて、多様な主体とともに社会的課題の解決に取り組む実践知の醸成を目指しています。
信州大学はこれからも、地域に根ざしつつ、世界とともに歩む大学として、持続可能な未来社会の構築に貢献してまいります。
学長挨拶

大学が地域の未来を形作る主体として、その使命を真に果たすべき時が到来しました。地域に根ざす大学には、「学びの機能(Learning)」、「寄り添う機能(mutual Understanding)」、「つなぐ機能(Connecting)」、「知の機能(Knowledge)」、そして「未来を志向し、新たな価値を創出する機能(Yield)」という、五つの本質的な役割が求められています。
私は、これら五つの機能の頭文字を繋げ、「LUCKY」という言葉に託しました。この言葉には、「学び」「共感」「連携」「知の創造」「未来の開拓」を通じて、大学が地域社会とともに幸福な未来を築き上げる存在でありたいという、強い願いが込められています。
信州の発展と歩調を合わせながら歩んできた「高等教育コンソーシアム信州」の各構成大学が、この地にとって、また各大学にとっても “LUCKY” な存在であったとするならば、それはまさに、地域と高等教育機関が相互に高め合い、育み合ってきた豊かな関係性の証左にほかなりません。そしてこの「LUCKY」という言葉には、「信州の未来は私たちにお任せください」という、力強い決意も込められております。
今後も「高等教育コンソーシアム信州」が、地域の中核を担う人材の育成に一層力を注ぎ、人的ネットワークとエンゲージメントの深化を図りつつ、地域の皆様から信頼され、真に頼りにされる存在であり続けることを願ってやみません。
信州大学としても、その中核的な役割を担うべく、その使命を胸に、今後とも一層の研鑽と挑戦を重ねてまいる所存です。
TEL.0263-35-4600(代表) https://www.shinshu-u.ac.jp/